ヨガ~ 〔後編〕 | 落とし穴

ヨガ~ 〔後編〕

KIROINU


ズンチャ♪ズンチャ♪ズンチャ♪と、

その気にさせるような音楽が、鳴る中

ついに、ヨガが始まりました。

ファンキーなヨーロピアンの先生から、

指示が出され私達は、それに従い

レッスンを進めていきます。

初めは、軽く体をほぐすような柔軟体操からです。

1、2、1、2、っと柔軟体操を続けていく内に

部屋の暑さと柔軟体操の相乗効果なのでしょうか?

今まで経験した事のない量の汗が出てきました。

確かに、これは頻繁に水分補給をしないと

干からびてしまいそうです。

10分ほど柔軟体操した後、本格的(?)にヨガに入りました。

先生:『はい、では腕を顔の前で絡ませて下さい』

ふむふむ、腕を絡ませてっと・・・・

先生:『そのまま、天井に刺さるくらい腕を伸ばして下さい』

腕を伸ばすっと、おおっ、なんか絞られてる気分。

先生:『そして、右足を左足に絡ませて、片足で立ってください』

・・・・まずい、倒れる。

先生『はいっ、では、そのまま正面の鏡に写った自分と目を合わせて下さい』

・・・鏡に写った自分を・・・・ウオッ!!

そこには、新しい自分が、写っていました。

しかし、私はそんな自分を1秒も凝視できません。

くっ、ダメだ、あんなの見てたら、笑ってしまって

この訳の分からぬ格好のまま倒れ、骨とか折ってしまいそうだ。

そこで、私は

同じポーズのまま顔だけ右斜め下を向け自分を

見ないように・・・

先生:『前を見ろっ!!

くっ・・ヨガ、な、なんて厳しい教え・・・

しかし、なぜ、ここまで自分を責めるような事を・・・

・・・・・はっ!!


もしや、これは見たく無い自分から目を背けるなっ!

というメッセージなのかもしれんっ!!

・・・などとは、これっぽっちも思わず、私はポーズを

解きました。

しかし、他のみんなは、鏡に写った自身の不自然なポーズに対して

クスリッともせず、ジッと向き合っています。

案外、ヨガとは、笑いにうるさい人たちの集まりなのかもしれません。

その後、約一時間、フラミンゴのようなポーズやシャチホコのような

ポーズを強要され、恥辱にまみれました。

レッスンが終わる頃には、10人前後いた生徒も半数近くまで

減っていました。

おそらく、自分を見失う前に出て行ったのでしょう。

残った人たちは、汗を流した爽快感と、自分を捨てきった

空虚感で、仏のような顔をしながら部屋を出て行きました。

結びに:正直、きつかったですが、汗を流す爽快感

     がたまらなかったので、従兄弟に

     「また、行こうよ」と言ったら、

     「もう、無料クーポンないから行かない」

     だ、そうです。