心霊体験? | 落とし穴

心霊体験?


HOSOMIMI


日本では残暑も一段落し、過ごし易い気候になって


きた事と思います。


上海も暑さはそれほど厳しくなく、夜などは涼しいくらいです。


さて、今回はそのような時期に季節はずれの少し怖い話を


したいと思います。


その日、私は夕食後、従姉妹の彼氏に連れられプールに行く事になっていました。


そのプールは彼が宿泊しているホテルの施設のため、無料で利用できるとの事でした。


上海に来てから、運動不足が気になっていた私はとても喜びました。


夜、8時半くらいだったでしょうか。


私達は自宅を出て、彼の宿泊先であるホテルへと向かいました。


彼のホテルは、従姉妹の家から歩いて5分ほどの所にある近代的な高層ビルです。


古い造りの民家が立ち並ぶ中に建っているためか、不自然なほど


目立って見えました。


また、その光景は現在の中国の姿を表しているかのようでした。


一度、私達は49階にある彼の部屋から夜景を眺めた後


エレベーターでプールのある7階へと向かいました。


エレベーターを降り、ガラス張りの渡り廊下を通り抜けると


プールに到着です。


時間も遅いためでしょうか、一面ガラス張りのプールには、


誰も人がいません。


受付に行くと、不思議とそこにも誰もいませんでした。


ただ、受付台の上に山のように積まれたタオルとロッカーの


キーが並べてあるだけです。


勝手に持っていて良いのだろうか?と、


ロッカーのキーから目を離し、頭を上げたその時でした・・・


私は見てしまったのです。


受付台の向う側で、タオルに顔を突っ込んで寝ている受付のオッサンを・・・・。


よほど、暇なのだなぁと思い。


静かにキーを取り、ロッカー室に向かいました。


従姉妹と彼氏は、そこまで私を案内してくれると、


「ハバ グッ タイム」と言い残し、


夜の上海へと繰り出して行きました。


さて、人が誰もいなくプールは貸切状態なわけですから


私は上機嫌で、イソイソと水着に着替えだしました。


とりあえず、着ているものを全て脱いで、水着を手に取った


その時でした・・・・


突然、ロッカー室の扉が開き、受付のオッサンが入ってきたのです。


完全に不意をつかれた私は


おもわず「オウッ!」と、間抜けな言葉を発したまま固まってしまいました。


オッサンは、ジロジロと私を見た後、


ぐるりとロッカールーム内を見回し、出て行きました。


寝顔を見られた復讐に来たのでしょうか?


私は、フルチンを見られました。


気を取り直し、いざプールへ。


横幅は4レーン程で、縦は25メートルある細長いプールでした。


深さも1.2メートルと浅く、お子様でも安心のレジャー用


プールと言ったところでしょうか?


水の中に潜ってみると、少し緑色に濁っていて視界


はあまり良いとはいえません。


また、水温にムラがあるため、泳いでいる内に


段々頭が痛くなってきました。


そのためでしょうか?泳ぎ始めて10分ほどで


クロールで息継ぎをする度に、プールサイドに


ハイレグの水着を着て、両手を腰にあてている男


が見えるようになりました。


最初の内は、何かの見間違えだろうと気にせず


泳いでいましたが、あまりに頻繁に見えるので


本当に段々、怖くなっていきました。


実際、男が見えた場所で立ち止まってその場所


をじっくり見たのですが、そこには救助用の浮き輪が


壁に架かっているだけです。


おそらく、浮き輪が人に見えたのだろうと思い、また


泳ぎ出すのですが、やはり両手を腰に当てて立っているハイレグ男


が見えるのです。


それが、緑色に濁る水の色とあいまってさらに、恐怖


を増殖させました。


私は、日頃から幽霊、お化けの類は信じていないのですが


この時は、流石に怖くなってプールから出ようかと思いました。


しかし、それよりも運動不足が気になって、ノルマを泳ぎ切るまで出るに


出られません。


そうやって、我慢して泳いでいる内に今度はワンピースの水着を着た


女の人が見え始めたのです。


うわ~、絶対なんかいるよ、このプールっ


と、思いながら一生懸命泳いでいたのですが、いよいよ我慢できなく


なり一旦泳ぐのを止めて、プール内を見渡してみると・・・・


本当に、ワンピースの水着を着た女の人が背泳ぎをしていました。


恐怖に駆られ、我を忘れて泳いでいる内に他の人が入って来たのに


気がつかなかったのです。


なぁ~んだ。やっぱ幽霊なんか、いないじゃん。


と、私は安心して、


泳ぎをクロールから、平泳ぎに変更し。


ゆっくりと泳ぎながら、横を通り過ぎるワンピースの女の人を


水中から眺めて楽しむ事にしました。


・・・・・・・・・・オバサンでした。


結びに: 怖いという気持ちが、人にないモノを

   

      あるように見せているのだなと、今回


      思いました。


      それとも、あるいは本当に・・・・・。