叔父さん | 落とし穴

叔父さん

PASOKON

今、家に叔父が来ています。


母方の兄弟なので、台湾の方です。


日本語話せます。(下手だけど)


幼い頃私は、彼によく虐められました。


どのように虐められたかは、覚えていませんが


夢に出てくるくらい嫌いだったのを覚えています。


もちろん、今では年月も経ち、私も大人になった(?)ので


過去の叔父のそういった行為は、歪んだ愛情表現の一つ


だったのだろうと、広い懐で受け止めています。


そのようなわけで、最近ではすこぶる順調にやっています。


そんな叔父から、朝っぱら呼び出されました。


まだ、夢の中だった私ですが、叔父からの召喚を断るわけにも


いかず、ジャージ姿でリビングへ。


叔父曰く、3日前に新しいノートパソコンを買ったのだが


いまいち、ブルー何とか(名前は忘れました)の設定の仕方が


わからないので設定してくれ。という事でした。


ハッキリ言って、私だって全くわからないので、1秒で断りました。


すると、


叔父「中、見てもいないのに、断る駄目よ。」


と、怒られたので、渋々中身を見ることに・・・・。


そういえば、本屋でバイトをしていた時も在庫がないと


言っても、お客さんが聞いてくれず本棚の下にある


引き出しを片っ端から開けさせられた事がありました。


気持ちは、わかるんですけどね。


もう少し信じて欲しい、嘘偽り無い僕の言葉を・・・・


まぁ、気の済むまでやりましょう。


と、パソコンを開くと案の定、中国語・・・・・


「郵便局は、この道を真っ直ぐ行って左です」レベルの中国語を


勉強している奴に、何を期待しているのでしょうか?


でも、あんまり早く諦めると、また何か言われそうなので、適当に


カチャカチャいじって、「あ~」とか「ほ~」とかやって、解った事は


もの凄い、軽い(重量)パソコンだなって事でした。(パソコン開かなくてもわかる)


で、頃合いを見計らって「やはり、僕では駄目ですね」と、言うと・・・・

叔父は溜息をついて、語り出しました。


叔父「あなたは、私のヒーローでした・・・」


・・・・初耳だぞ。しかもあんたは、そのヒーローを昔、虐めている。


叔父「私が、困った時いつも助けてくれました」


・・・・重いトランク運ばされたりね。ホント、腰に来たよあの時は・・・

叔父「でも、今、あなたパソコンわからない、もう・・・・・ヒーローじゃないっ


この、一言が私のハートに火を点けました。

・・・・・・・「ほざけぇぇぇっ!!チェンツォンっっっ(叔父の名前)」

開口一番、私はノートパソコンを逆に折り曲げ、流れるような動作で

右手でチョキをつくり、それを叔父の両眼に叩き込みました。

叔父「チョーミンガァァァァァァァァ(助けてぇぇ、という意味の中国語ね)!!」

と断末魔の叫びをあげ両目を押え、リビングを転げまわる叔父。

そんな叔父の姿を、冷め切った眼で見下ろしながら一言、

「パソコンの設定以前に、あなたの性格、設定しなおしてあげますからぁぁぁぁ」

・・・・・・という、想像をしながら叔父の話を聞き流していました。

すると、やっと叔父も諦めたのか

スクッと立ち上がり

叔父「さよなら、普通のだいちち」


と、言い残しサッサと出かけて行きました。

・・・・・・・・・やっ、やっぱり、むかつく(怒)。


結びに:でも、叔父はいつも家に来るとき


     私の好物の「パイナップルのお菓子」


     をお土産に買ってきてくれます。

   

     ありがとう、叔父さん。